さまざまな領域で活動する園芸療法士の声を紹介します。
今回は公園の管理・運営を行う財団で勤務している丸山恵利加さんです。
丸山恵利加
鳥取大学農学部卒業後、農薬販売会社で営業職として勤務。園芸療法を学ぶため、退職して兵庫県立淡路景観園芸学校に入学。修了後は研究生として1年間実践を積んだ後、現在の公園を管理・運営する財団で園芸療法の普及につとめている。
園芸療法士をめざしたきっかけ
植物に関連する仕事をしたいと思い、農薬の営業をしていた頃、理想と現実の葛藤の中でうまく笑えなくなった時期がありました。たまたま生産者さんからいただいたミヤコワスレを飾って見ているだけなのに、なんだか救われたような気がした経験が不思議と印象に残っていたのかもしれません。同じタイミングで、社内で購読していた農業新聞の記事にあった「園芸療法」という言葉に出会い、詳しく知りたいと思ったのが最初です。そして、好きな植物と一緒に周りの人を笑顔にしたいと考えるようになりました。
園芸療法士の一日の仕事
公園を管理・運営する財団職員としての通常業務と、園芸療法を軸にした仕事を主に担当しています。
園芸療法に関連した仕事(一般向けの教室、ボランティアさん向けの勉強会、高齢や障害のある方の施設等の受け入れ対応、子どもを対象にした体験、地域の公民館活動への出張講座、特別支援学級の生徒の実習、小学生対象の花育など)がある場合は、その準備、実施、片づけなどにほぼ1日を費やします。
そういった仕事が入っていない日には、実習を行うガーデンのメンテナンス作業、植栽植物のラベル(ポップ)作成、販売用植物の仕入れや売り場整理、園芸関連講習会の企画・実施、市民花壇やボランティア活動の対応、イベント補助などを行っています。
園芸療法士の仕事のやりがい
さまざまな人が訪れる公園に常駐する園芸療法士ならではの役割があると思って仕事をしています。病気で片麻痺になり、自宅で車椅子の生活をされている方が思い切って電話をしてこられ、園芸療法の教室に参加されたのをきっかけに、タクシーを使っておひとりで月に何度も来園されるようになりました。「先生がいてくれて、ここに来ることができて、本当に感謝しています」とおっしゃってくれます。気軽に安心して来ることができ、植物や園芸を通して笑顔になって帰ることができる場所や機会を提供することは、地域の中でそれぞれの生活にアレンジ可能な園芸療法を提案することにつながります。植物を通して生まれた一人の笑顔が、少しずつ増え、互いに仲良くなったりしてつながっていくのを見るのが幸せです。まだまだできることはたくさんあると可能性が広がります。
勤務先施設のHP https://flowerland.or.jp