毛利ユカ

園芸療法士の活動

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さまざまな領域で活動する園芸療法士の声を紹介します。

今回は茨城県を拠点として医療、福祉、教育など様々な分野で実践をされている毛利ユカさんです。

 

毛利ユカ

東京農大大学院修了。専門は高齢者・緩和ケア。1999年より医福施設や教育機関にて現職。 2001年、いばらき園芸療法研究会(IHT)発足 代表。 2003年、緑のデザイン賞で国土交通大臣賞受賞。 2013年、農水省の交付金を得てIHT園芸療法士養成講座 開始。 2023年現在、従来の活動に加え、親子の園芸療法教室「こども農学部」やレンタルガーデン、caféなど園芸療法をベースとしたユニバーサルな活動を始動。

 

園芸療法士をめざしたきっかけ

造園家になろうとイギリスに行った私は、偶然ホスピスの庭を見たことで将来が変わりました。 可愛らしく控え目な庭で酸素ボンベをつけた患者さまが、ご家族と本格的なティーセットでお茶を飲んでいました。 「本当の豊かさ・自由さ」「人生をないがしろにしない、慈しむ」を具現化した光景でした。 私自身、患者さまは病室で過ごすという思い込みにとらわれていた事、また、それらを仕方がない事と、あきらめを無意識に受け入れていた事に大きなショックを受けました。 日本にもこのような庭を作ろう、それ以上にこのような事が普通になる生活を根付かせよう、そう意気込んだのがキッカケです。

 

 

園芸療法士の一日の仕事

フリーランスの私は下記のような場で仕事をしています。

*医療・福祉系
介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス高齢者住宅、 緩和ケア病棟など

*教育系
茨城県庁委託の花育事業、大学や専門学校の園芸療法講師、IHT園芸療法士養成講座など

*自然体験系
親子の園芸療法教室「こども農学部」、大人のための自然体験イベント「ユルク」など

*その他
自然の中で思い思いに過ごす「まちの庭の日」という庭の開放日(週1回、無料、事前連絡あれば、どなたでも参加OK)や、書類の準備・庭園管理など

忙しいながらも、人・植物・自然とのつながり、関わりを楽しく思わせてくれる園芸療法は仕事を超えて「自分を知ることが出来る鏡」になっています。 それは私の身体、こころ、精神や考え方、行動に大きな影響を与え続けています。

 

 

園芸療法士の仕事のやりがい

私の園芸療法活動の最終目標は「生(せい)を噛みしめる時間の共有」です。 生きている!という好ましい感覚を実感された患者さまや利用者さまは表情が明るくなり、声が出てくる、心身、脳が動くなどの変化が見られます。その変化は、ご自分を楽しく、周囲を明るく、全体の空気を心地よくさせます。
園芸療法士となって24年になりますが、寄りそう、支える、背中を押すという支援スタイルから、私は生きている!と感じる時間を患者さまや利用者さまと共に真剣勝負で作りあげ、それを余すことなく共に味わう、嚙みしめるスタイルに変化してきました。
時間を忘れている時が、一番時間を大切にしている時だ、と聞いたことがありますが、その充足感は、患者さまや利用者さまに生きる喜びや明日を楽しみにする言葉を発せさせ、私に園芸療法士としてのやりがいを体感させてくれています。

勤務先施設のHP いばらき園芸療法研究会 http://iht.main.jp/